


支援者で当事者でもある著者が、トラウマの国を描いた。
『トラウマの国のアリス
解離性障害と性暴力被害』
専門家の資料に、支援者の参考に、当事者の手がかりに、多くの人の理解の糸口になりますように。(著者)
この本について:
『トラウマの国のアリス』は、性暴力被害によって生じるトラウマや解離性障害を、当事者であり支援者でもある著者の視点から描いた記録であり、回復過程を理解するための一冊。性暴力被害とトラウマの関係、解離性障害の具体的な体験、PTSD・複雑性PTSD(C-PTSD)、二次被害・二次加害、トラウマインフォームド・ケア、回復とPTG(心的外傷後成長)について体系的に理解できる内容を含み、支援者・専門職・当事者のいずれにも役立つ。
テーマ:
性暴力被害/トラウマ/解離性障害/PTSD/複雑性PTSD(C-PTSD)/二次被害/二次加害/回復/PTG(心的外傷後成長)/トラウマインフォームド・ケア
トラウマとはどんな世界なのか――それは感覚がゆがみ、起きることがいちいちあべこべ。時間の進みも上下もわからなくなる、まるで『不思議の国のアリス』のような世界。しかし、そのような「冒険」をしながらもトラウマからの回復がはかられていく。
その日々を、ジュディス・ハーマンのトラウマからの回復の三段階「安全」「想起と服喪追悼」「再結合」に沿って克明に綴る、トラウマに焦点を当てた、今までにない解離性障害・性暴力被害当事者の記録。
八幡真弓 (やはた・まゆみ she/her)
著者・カバー・イラスト
性暴力・DV支援者&当事者活動家、 Praise the brave代表、#remetoo発信者。 女性支援の周縁で成長、30代に性暴力・ DVの相談員を開始し、同時期に起業。 その後、起業した業界で性暴力を受けた。 現在は、当事者に向けた発信や当事者と してのトラウマインフォームド・ケアの 講演活動、執筆活動などを行 っている。
定価 2530円(本体2300円+税) 四六判・並製204頁
出版:生活思想社 ISBN 978-4-916112-35-4 C0036 ¥2300E
2026年3月初旬・刊行
※他の各種書籍通販サイト、書店でご予約可能です。
● メディア紹介・書評掲載
・毎日新聞 朝刊 「今週の本棚」書評掲載(2026年5月30日)
・ウィメンズ アクション ネットワーク(WAN)「女の本屋」紹介記事掲載(2026年3月21日)
● 推薦文 (14件:順不同)
篠田 節子さん(作家)
「魂の殺人」と一言では言い尽くせない。
性暴力によって引き起こされたトラウマとPTSD。
多くの思い込みや、表面的な現象のみから、憶測で語られがちなその実態と被害者の内面が、この本の中では、粉飾や曖昧さを廃して率直に語られ、今、そこから抜け出そうとしている著者の闘いと、その道筋が示される。
被害者を支えている家族の方、関わっている友人知人の方々、支援されている方々、何よりドラマや小説の中でしか、こうした問題に触れたことのない大多数の方々に、ぜひ読んで欲しい。
推 薦
矢口 敦子さん
(作家/日本ペンクラブ・女性作家委員会委員)
読み始めは、私のように少し戸惑う読者もいるかもしれません。
小説仕立て? と思いながら、ページをめくると目次があり、その次のページは文中の用語の解説、つづいて「まえがきにかえて」という数ページにわたる自己紹介があります。ちょっと珍しい構成。
でも、戸惑いはここまで。
さらにページをめくると、読者はたちまちトラウマの国のアリスの語りに引き込まれます。
とても辛い体験なのに、分かりやすい柔らかな文章でつづられていて、途中で目を覆って投げ出したくなるなんてこともなく、するすると読み終えることができます。
暗い場面から始まっているのに、最後は明るく力強く煌めいている。
著者と同じ体験をして今も苦しんでいる方を勇気づけることができるのではないでしょうか。
そこまでいかなくても、いま現在困っていることに対処するためのヒントを得ることができるかもしれません。たとえば、障碍年金の申請など。
ただ、私がこの本を本当に読んでいただきたいのは、性暴力被害者ではなく、性暴力を受けたことのない方々です。
性暴力というものが、被害者にどれほど壮絶な精神状態を引き起こすものなのか。
いろいろ分かっているつもりだった私も、この本により初めて奥深くまで知ることができました。
そして、すべての人に知ってほしいと思いました。
「トラウマの国のアリス」、強くお勧めします。
推 薦
阿部 真紀さん
(認定NPO法人エンパワメントかながわ 理事長/支援)
決して特別な人だけに起きたことではありません。
あなたのすぐ隣でも、今も起きていることかもしれません。
ただ、こんなにも壮絶で、苦しく辛い体験を、こんなにも美しい文章で、こんなにも読みやすく、かつすべての人の心に配慮して書くことができるのは、この著者しかいないかもしれない。
体験者であり、かつ支援者の立場でもあるからこそ、この言葉を、この文章を伝えたいという著者の思いを受け取ってください。
性暴力について支援する、あるいはこれから支援しようとする立場の方へ
この著者が心の中に見つけた、ルビーのかけら・・・それは、どんなに力を奪われていると思われる人にも、必ずあるはずです。
ルビーじゃなくて、サファイアやアメジストかもしれませんが・・・
その人の中に必ず、そのかけらがあると信じてください。
そうしたら、きっと未来への道が開けてくるはず。
推 薦
村木 真紀さん(認定NPO法人 虹色ダイバーシティ 代表・理事長/LGBTQ+支援)
私もトラウマを抱えていますので、フラッシュバックしないよう少しずつ読み進めて、無事に完読できました。トラウマ・インフォームド・ケアの考えに沿って書かれていたためもあるかと思います。このコンセプトは、支援の場や若者の居場所でもっと広がって欲しい。
本当に、書いてくれてありがとう!
推 薦
リーナさん(当事者によるフォトプロジェクト団体 STAND Still代表/当事者活動)
性暴力被害当事者として、「魂の殺人」と呼ばれることに違和感を抱いてきました。私たちは望まずして、殺されるかもしれない恐怖と、身体を奪われる無力感の中で限界まで追い詰められる体験をしてきました。それでも、見えない傷を抱えながら生きています。声を上げても、「声なき声」とされ、社会はそれを見ずにきました。
私は、いままで当事者であるがゆえに、同じ立場の人の本を読むと目が回り、体調を崩すことが多く、読みたいと思ってもなかなか読み進めることができずにいました。彼女の本では被害の詳細が出てきません。詳細がなくとも、苦しみを生きたことがひしひしと感じられます。もちろん、詳細を語ることによって伝える本の大切さもあります。しかし、あえて表現しないことによって、私のようにこれまで読むことが難しかった多くの当事者や、その周りで力になりたいと願うすべての人にとって、読みやすく、わかりやすい表現で綴られた入門書になるのだと感じます。
当事者にも、支えたいと願う人にも届く一冊です。
人は人の中で生き、傷つくのも癒やされるのもまた人との関わりの中にある——そのことを静かに教えてくれます。だからこそ、人は人の中で生きていく。
この本の中にある小さな希望である「ルビー」が、多くの人に届くことを願っています。
推 薦
山崎 菊乃さん(特定非営利活動法人 女のスペース・おん代表理事/支援)
アリスが魔法の国に迷い込んだように、読者はトラウマの国をさまようことになります。女性支援現場で多くの当事者の方々とご一緒しましたが、正直に言うと、彼女たちがいる世界を体感するということができずにいました。
この本はトラウマの感覚を体感できる本だな、と感じました。でも、暴力の描写などはなく、安心して読むことができました。さらに、トラウマの医学的な解説や制度の説明も適切にちょうどよいボリュームで挿入されていて、どこにも引っかかることなく読み進めていくことが、できました。
このような本は初めて出会いました。まゆみさん、ありがとうございました。想像を超えるご苦労をしながら執筆していかれたと思います。でも、この本は当事者・支援者だけでなく、年齢やセクシュアリティに関わらず、多くの人に読んでもらいたい。
まゆみさんのトラウマの国を知ることにより、トラウマインフォームドな社会が作られていくのだと感じました。
女のスペース・おんでも何冊か購入して、シェルターにも置いておこうと思います。
推 薦
森 祐美子さん
(認定特定非営利活動法人こまちぷらす 理事長/支援)
2022年フィッシュファミリー財団のJWLIのプログラムでボストンへ1ヶ月研修で行く機会をいただきました。
中でも忘れられない時間の一つは1ヶ月ルームメイトのまゆみさんと過ごし毎日毎晩語ったこと。
一緒にその日に見た光景、アメリカで起きているさまざまな被害や支援、その構造、いろんなこと話した毎日でした。
本を開いて読み始めると聞いていたこともあればあれだけ話していたのに聞いてなかったこと、知らなくて想像もできてなかったことがたくさんありすぎてすぐに感想も書けずに読んでは一度しまいまた読んではもう一度しまって、、という日々で手に取ってから少し時間たってしまいました。
小さい頃から生きてきた中で感じてきたこと、支援者としての視点、受けた被害のことやその後の長い期間もがき続けている日々のことや感情、支援や申請の中で傷つき諦めに近いものを感じた時の絶望感、、、
これだけのことをここまで一つひとつの言葉を丁寧に、自身も回復の中にいながら紡いでいくことは想像を絶することで、書いては消しているまゆみさん、伝える役割と同時にいろんな被害の最中にいる方々のことを考えているまゆみさんが想像できて気が遠くなりました。
本の中に書いてあるのですが底をついた感覚の時の感情をボストンにいるときに語ってくれました。その時に話してくれた、足の裏に感じる踏み潰したゼリーの中にある小さな小さなルビーの話、底をついた時に気づけることがあってだからこそ自分で這い上がれる、大事なんだよ、と。
支援者として、また、当事者としても生きてきたその彼女が語る中途半端な支援の危うさや信じることについては、ボストンにいる間もその後もずっと私の中に残ってます。
「社会のどこにも接さない日々は、まるで地面にも接していないみたいだ。忙しい街にぽかんとあいた真空の穴の中、不安定な姿勢で、ただ孤独に、浮かぶ。人がみれば何もしてないように見えるだろうが、浮かびながらバランスを保つにはすごく集中力がいるし、孤独を感じないよう心も同時にミュートするから力がいる」と書いてあるページがあります。
家から出られない、自分が自分でなくなるような感覚の時のたくさんの人の言葉にならない言葉を見つけて紙に丁寧に書き落としてくれてます。
手に取って読んで欲しい一冊です。
これを今書けるのは日本でまゆみさんしかいなんじゃないかな。
長い年月を経て、響き続ける、届き続ける本だと思います。
まゆみさん、出版おめでとう。
推 薦
野坂 祐子さん(臨床心理士・公認心理師/大阪大学大学院人間科学研究科教授/心理)
ご自身の体験に向き合い、言葉にして伝えてくださったことに感謝します。解離やトラウマの諸症状がどんなふうに体験されるものなのか、それはご本人に聴かなければわからないし、問うだけではかたちにならない。どんな状況でも、周囲が勝手に決めつけず、急かさず、焦らず、その人とともにあろうとすることが大切だと感じた。
そして、どんな症状にも、その人自身を守る機能があるわけだが、人はただ〈守られている〉のではなく、その人自身が自分を〈守っている〉のだと、改めて気づかされた。どんなに過酷な状況でも、人が主体性や自律性を失うことはない。暴力がそれを揺るがすことはあっても。それを奪うのは、ときに支援という名の支配かもしれない。
この本は、トラウマや逆境がどれほどのダメージをもたらすかだけでなく、人がどれだけレジリエントであるかを伝えてくれます。
推 薦
小島 妙子さん(弁護士/法律)
本のカバーがとてもステキですね。
私は今日も、歩道橋の上で見つけた、一粒のルビーを胸に抱えて生きている。という文章に心惹かれました。
ロールモデルとして支援者や被害当事者の人々の足元を照らす光になってくださること、期待しています。
推 薦
武井 由起子さん(弁護士/法律)
装丁がとても美しい本である。おしゃれな人のエッセイとみまごうばかりの。
しかし内容としっかり関係がある。おさえたパウダーブルーは、解離をイメージしたそうだが、トラウマを持つ人たちに手に取りたいと思わせるものだ。
そしてご本人が書かれたというイラストのワイルドベリーがくっきりと赤い。これは幼児期からのACE、そして繰り返される性暴力で何もかもを失いそうになりながらも、踏みつぶせなかったルビーと彼女が呼ぶ、いわば尊厳のメタファーでもある。
「トラウマの国のアリス」というタイトルも秀逸である。性暴力被害で解離がある人にとって、この国の社会は、支援や司法ですらも、何もかもがあべこべに感じられておかしくない。そこをアリスの一人である彼女は果敢に進んでいく。
この装丁も、タイトルも、そして客観的に自分を観察し続ける文章も、著者の非凡さをくっきりと浮かび上がらせるが、それと対照的なのは、とにかく暴力にまみれてキャリア的なものから縁遠い生活を余儀なくされてしまっていることだ。これは和田靜香さんの『中高年シングル女性』の読後感と同じで、どれほどの女性たちが暴力によって翼が折られているのか、少し想像するだけでクラクラする。
彼女が、少しずつ、自身の安全感を取り戻し、何があったのか再定義を行い、社会とのつながりを取り戻すまでの物語。専門知識とお役立ち情報も踏んだんに盛り込まれている。
以前、ライターの三浦ゆえさんから「迎合」についての記事をまとめたいと相談され、自分も事件や勉強してきたことを語った際、同じ記事で当事者としての経験を語ったのが、こちらの真弓さんだった。
私が、今やっている現役自衛官ハラスメント訴訟で、原告が女性の先輩たちや女性のセクハラ相談員から全く支持されず、むしろ攻撃されたことに強く傷ついていた。
このような、支援を受けられると期待できる場所・人から二次被害を経験するとより深く傷つくという現象をサンクチュアリ・トラウマという。実際、裁判所が性暴力被害者やDV被害者のトラウマを全く理解せずに野蛮な判断を下すために、被害者さんが激しい不調に陥るのを目の当たりにしてきている。サンクチュアリ・トラウマの最たるものだろう。この本には、そのこともしっかり書いてある。
PTG(Post Traumatic Growth 心的外傷後成長)でパワーアップした真弓さんは、トラウマインフォームド・ケアの啓蒙活動に取り組んでいるが、司法のトラウマインフォームド・ケアについては、私たち頑張らないと!と思わせられる。
この本は、本当に様々な工夫がされていて、暴力の具体的な内容の記述はないので、HSPの私でも読めるぐらい。皆様に広くおすすめしたい。
特に、ところどころにある繊細で視野の広い言葉にはグッとくる。
これだけ俯瞰して物事を見て文章を紡げるのは、こう言ったらいけないのかもしれないけど、一種の解離症状がもたらす「果実」なのだろう。
転んでもタダじゃ起きない真弓さん、頑張って欲しい!と言いたくなってしまうが、当事者に頑張らせる社会は野蛮だ。
そうじゃない人こそ頑張らないといけない。頑張るためにも、ぜひこの本、手に取って読んでみて欲しい。
推 薦
マリアさん(当事者によるフォトプロジェクト団体 STAND Still東京 代表/当事者活動)
『トラウマとともに生きる人、そしてその傍らにいる人へ』
苦しみが長引いたわたしたちは、何年も、何十年も、自らの不可解さや不自由さに翻弄されては、疲労困憊し傷を重ねてきた。またなにげない社会や周囲のなりゆきが風となり塩となってその傷を更に深めてもきた。
八幡真弓は、もって生まれた力と、更に傷から得た力とを以て、その両方の力の価値を見事に描写し、証明してみせた。真に“Praise the brave”の体現者である。
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もしあなたが生き延びたあとも様々な困りごとに振り回されていたなら、或いはあなたのそばにいる人と、どう共に在るか迷っていたなら、どうか怖がらないで。
当事者/支援者の“ハイブリッド”である彼女ならではの工夫と優しさが随所に詰まったこの本に、きっとヒントがあります。
自分自身に何が起きているか理解するため、ケアや支援の場で相手に説明するため、大切な人と共有し、相互の安全安心を深めるため…。
様々な場面で、色々な立場から、トラウマインフォームドな世界を目指す私たち必携の著!
推 薦
近藤 恵子さん(特定非営利活動法人女のスペース・おん 理事、北海道ウィメンズ・ユニオン 執行委員長、NPO法人全国女性シェルターネット 理事/支援)
サポートシェルターの支援現場には、DV・性暴力・性虐待などの被害当事者が毎日のように押し寄せてくる。そのお一人お一人が、それぞれの「トラウマの国」をさまよう「アリス」たちだ。
たくさんの「アリス」たちが、「トラウマの国」に居続けながら、あるいは時々飛び出しながら、あらたな居場所を創りあげ、あらたな自分を育て上げてきた。その過程がどれほど過酷であったか。その日々を生き抜いてきた「アリス」たちの底知れない力に、世界中の女たちがエンパワーされてきた。痛みをともにする女たちのたたかいを紡いできたのは無数の「アリス」たちであり、命がけで、必要な法律を創り、その運用改善を図り、地域社会の支援力を底上げしてきたのもこの「アリス」たちである。
この本に記された著者の15年は、無数の「アリス」の一人としての輝かしい記録である。あえて「輝かしい」と記載することを、この本を読む方々はみなうなずいてくださることと思う。
推 薦
赤石 千衣子さん(@JSPF:NPO法人ひとり親家庭サポート団体全国協議会/支援)
読むのが怖くもあり、そしてどきどきした。
著者がどうやってこども時代からの解離性障害を生きてきたのか、そして性暴力被害を受けた、そのことをうけとめて生き延びて、たたかって、進んできたか。
著者の特性のひとつなのだろうか、自分を客観的に見る視点を、ほぼ失っていない…いや失っているときもあるのだろうけれど、その失っていたことも含めてまた見つめていくという作業を、常に行っているのは…ただすごい。
そしてその作業はとても知的なのだろうと思う。
ボストンの研修までいきつくタフさ。
解離性障害を生きている人々、性暴力被害を受けて生き延びてきた人々の状況はさまざまだろう。
本書で書かれているtipsが役立つ人も多いだろう。
シングルマザー支援をしていると多くのトラウマを抱えているシングルマザーに出会う。就労支援や、居場所をつくってきたが、安心できる場所、権利を侵害されない場所をつくることに傾注してきたが、その努力は終わりがない、つまりこれをすれば十分というものではなく、であれば常に当事者の人と安心をつくっていく姿勢でいようと改めて思った。
推 薦
遠藤 智子さん(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター 事務局長/支援)
日本社会で「大量に起きている性暴力被害」を可視化することは、予防や支援に向けて不可欠なのだが、ものすごく難しい。この国では被害が「ポルノとして」消費されることが許されているからだ(としか言いようがない状況だと私は考えている)。
このような中で、性暴力被害を受けたことを明らかにしてくださる方々には深い感謝しかない。その方達のおかげで、少しずつ法制度は改善されてきたのだから。
当事者のその道のりに連なる八幡真弓さんは、本書で性暴力被害の影響についてとても具体的かつ「ポルノとして消費されない」形で「解説」してくれた。この努力に心から敬意を表する。八幡さん、当事者と支援者の二つの役割をになってくれてありがとう。
言葉や文化・風習、セクシュアリティなどたくさんの見えない壁を超えることを多様性とか社会的包摂とかいうわけだが、性暴力被害を理解するということも、壁を越えることであるとつくづく思う。「女に何が分かる!」とさんざ罵倒された私の80年代、ああ、今こそ「男に何が分かる!」と言ってあげたい気分で一杯だけれども、その代わりにこの本を送ってあげよう。
たぶん、八幡さんは今「トラウマの国」とそれ以外の「国」の通訳として佇んでいる。 すでに八幡さんからボールは投げられたわけなので、私たちはこの本から出発して、トラウマインフォームドケアというガイドブックを参照しながら、社会の構造を変えるために何をするのかを考えないといけない。
その提起を準備しようと思っているところ。まずは近隣の図書館にリクエストを出すことから皆様よろしくお願いします。
推 薦
<目次>
・プロローグ
・自己紹介とこの本を手にとってくださった皆様へ--まえがきにかえて
第1段階 安全 ひとり闘う
1 チルドルームで立てる毒々しい作戦
2 作戦の前準備
3 搾取と暴力に見つかる
4 無理のある前進
5 方向転換
6 作戦終了、バイバイ
7 チルドルームからの脱出
8 周囲に安心と笑顔の花が咲く
9 動じない人との出会い
10 加害者仕様の機械人形
11 サンクチュアリ(聖域)での傷つき
12 脳内の安全とイマジナリー(空想の)加害者
第2段階 想起と服喪追悼 生きようとする
Ⅰ 挑戦し癒やし綴る
1 トイレのドアの開け方は?
2 皆さん、ドタキャンもOKです
3 私のことは、私抜きで決まる
4 私と[私]と(私)と“私”と…大切な私たち
5 対岸から手招きする回復者たち
6 調子っぱずれな時間帯の喫茶店で
7 自分と同じ二人との出会い
8 #MeTooの到来
9 声を上げたから味わう絶望と搾取と恐怖
10 フラッシュバック、絶対にバッドエンドになるVRゲーム
11 [私]からの多すぎる要求、分身のような「ゆき」と「まゆり」
Ⅱ 生への期待と関わりの中で育つ力
12 毛布と優里亜
13 「一瞬の間」もない返事の効果
14 映画鑑賞とセカンドオピニオン
15 二人目の弁護士
16 英語と日本語でつくる被害リスト
17 小さな騎士あらわる
18 親切な退職提案
19 うまくいかない記憶
20 終えていく儀式
第3段階 再結合 ひらこうとする
Ⅰ 急いで進む時間と掻き集める挑戦
1 症状が資格にばけた
2 制度的二次加害だらけの障害年金請求
3 真夏に冷える指、熱く痛い頭
4 苗字抜きの名刺
5 今後に向かうなら、二つの願いを
6 Praise the braveと#remetoo誕生
7 職業訓練校面接
8 年金事務所、ファイナル!
9 王子たちのおかげのグラウンディング―現実への着地―
10 過覚醒とシャボン玉の魔法使い
11 イベントへのたくさんの工夫
12 イベントへのたくさんの準備
13 閉じ込めた叫びからの痛み
14 大成功なのに大失敗?
15 穴に詰め込む予定と優里亜たちの帰国
Ⅱ たくさんの顔が見えた、たくさんのことが見えた
16 見ていた世界がひっくり返った
17 記者会見に日常が混ざる
18 挑戦と誇りと恐怖
19 パンデミック、混乱の中を転がる
20 不貞腐れても止まらない
21 「子」への責任
22 一人の闘いから、二人での闘いに
23 一度きりの号泣と世界共通の体験
24 手術と感謝と回復と
25 ボストンに向けて膨らむ憂鬱
26 運命と友人が行けという
27 ボストン、夢のようなアパートメント
28 人生最大級のフラッシュバック
29 特効薬は模様替え
30 ふてぶてしく成長
・エピローグ
・参考資料――トラウマ治療中に描いた絵
『トラウマの国のアリス 解離性障害と性暴力被害』刊行記念
八幡真弓(Praise the brave)×STAND Stillコラボ企画
『表現を手にした私達のここまでとこれから』
アート展/刊行記念パーティ&クロストーク開催決定
2026年5月13日(水)〜5月25日(月)
『トラウマの国のアリス 解離性障害と性暴力被害』(生活思想社)の刊行記念企画として、当事者による表現に焦点を当てたアート展『表現を手にした私達のここまでとこれから』を、2026年5月13日(水)から5月25日(月)まで東京・高円寺で開催します。
八幡真弓の作品と、性暴力被害当事者によるフォトプロジェクトSTAND Stillの写真を通して、トラウマの体験がどのように表現へと変換され、社会へと開かれていくのかをご覧いただける展示です。
会期中の2026年5月17日(日)には、刊行記念パーティおよび、著者の八幡真弓によるブックトーク、また、STAND Stillメンバーとのクロストークを開催します。
●プレスリリース:


